彼は直帰しました

どうしても編集者になりたかったので印刷会社から広告営業経由ですべりこんだ私のブログ

本のタイトルについての考察 1

 本を出版する際、最後にして最高に悩ましい過程が待つ。それがタイトル付けだ。

 自分が担当している新書だと、タイトルは「なぜ〜なのか?」「AのB」「○○力」「数字」など、おおよそパターン化しているとはいえる。

 パターン化しているからこそ、差別化して印象に残る、斬新なタイトルを作るのももちろん戦略としてありだし、むしろ過去の名編集者達が作り上げたフォーマットにのっとったタイトルを作るのも効率的かもしれない。

 たしか「もしドラ」の担当編集者だった加藤さんはタイトルを100個は最低考える、とおっしゃっていた。だから編集者歴が少ないのに最前線に立っている自分は、200個(ものにもよるけど)は考えている。

 著者が有名でなかったり、内容が実験的なものだったりすればなおさら、タイトルで売れるかどうかは半分以上決まってしまうと言っても過言ではないと思う。

 しかしタイトルはくせ者で、沢山作ればそれでいいものがでるとも限らないし、執筆をずっと付き添ってきたからこそ、へんてこな主観が生まれて、読者が喜ぶものとはかけ離れた場所にたどり着いてしまう事がしばしばある。

 その証拠かどうかは分からないけれど、他の編集者が校了まで手がけた本のタイトル付けだけを数冊手伝ったが、いずれも重版した。中身は読んでいなかったのに。

 というのも正直、今刊行されている本は、やはり数百年にわたってつくりあげられたコンテンツだけに、どれを手にとってもそこそこ面白い。それなりに気づきもある(あるあるも、ある)。要は手にとってもらって少しでも読み進めてもらえるかどうか、なのだ。